風雪の太陽(1973)

SUTJESKA

製作 : 1973年

監督 : スティペ・デリッチ

脚本 : セルゲイ・ボンダルチュク

出演 : リチャード・バートン、イレーネ・パパス、リューバ・タディッチ、ミレナ・ドラヴィッチ、ボリス・ドボルニク

 1943年、ドイツ軍は「白作戦」によりネレトバ河流域にパルチザンを追いつめたものの、チトーの巧みな戦略で裏をかかれてパルチザンの脱出を許してしまう。そこで、パルチザンを一挙に包囲殲滅するべく、ヒトラーは第五次の攻勢「黒作戦」を命じる。ドイツ軍の圧倒的な戦力の前に、パルチザンは部隊を北方隊と南方隊の2つに分けてボスニア方面への後退を開始した。両部隊ともドイツ軍の砲爆撃により甚大な損害をこうむるも、1ヶ月に渡る戦いを耐え抜き、やがてパルチザンはドイツ軍の包囲網をつき破って脱出し、ドイツ軍の大攻勢をかわすことに成功した。

 ドイツ軍の攻勢を、多大な犠牲を払いながらも切り抜けた「スチェスカ川の戦い」を描いた映画。「ネレトバの戦い」と同様、リチャード・バートン、イレーネ・パパスなどの国際派スターを起用した記念碑的大作であり、随所に見所はありながらも全体的に面白さに欠け、ネレトバよりも完成度は劣る。

 まず話が判りづらい。部隊を北方隊と南方隊の2つに分けて脱出を図るも、南方隊はドイツ軍の包囲を突破出来ず、再び北方隊に合流しようとする。一方、北方隊はようやく一部の師団が包囲網を突破することに成功し、チトーの本隊が後から続いて来るのを待つも、チトーはまだ合流しない南方隊を見捨てることは出来ない…というのが全体像であるが、お世辞にも判りやすく描かれているとはいい難い。

 しかし、国策映画だけあってスケール感は満点。山麓をドイツ軍機が編隊飛行するのを頂上から見下ろすシーンや、谷間を改造タイガーや兵員が埋め尽くすシーンなど印象に残る場面が多数あります。もっとも、ようやく満を持して登場した改造タイガーが、パルチザンの1門の対戦車砲で次々にやられてしまうのは頂けませんが(笑)


名優リチャード・バートン。イギリス情報部員から、親衛隊将校、パルチザンの指導者まで何でも演じます。


ナバロンの要塞でもお馴染みのイレーネ・パパス。残念ながら今回は顔見せ的な出演か。


ユーゴ戦争映画界の三船敏郎ことバタ・ジボイノビッチ。出演作数え切れず。


ドイツ軍は、アントン・ディフリングにギュンター・マイスナーという最凶布陣!

戦争映画補完計画

私の好きなWWⅡドイツ軍関係の戦争映画、特にマカロニコンバットやユーゴ製の戦争映画を中心に紹介するページです。あとテレビ洋画劇場世代なので、吹替版の映画も大好きです。