パリは燃えているか(1966)IS PARIS BURNING?
〈雑誌記事より〉
解説
『パリは燃えているか・・・』一九四四年八月二五日ヒットラーは、ラステンブルクの司令部からパリの占領軍司令部宛の電話で、幕僚にこう尋ねた。彼は占領軍司令官コルテッツに、連合軍が進攻してきたら、パリを焼き払うように命じておいたのである。
右のヒットラーの言葉を題名にしたこの映画は、パリの美と芸術を破壊から救うために、パリ市民並びにパリを愛する人々がいかに闘い、その努力と熱意がいかに連合軍のパリ解放につながったかを、仏=米の映画人が総力を結集して製作した70ミリの大作である。
製作は「橋からの眺め」の名プロデューサー、ボール・グレッツ。ベストセラーとなった米通信員ラリー・コリンズと仏雑誌記者ドミニク・ラビエールの原作を読んだ彼は、いち早く映画化権を獲得した。アメリカのゴア・ビダルとフランシス・フォード・コポラの二人が、共同で脚色に当たり、「鉄路の闘い」「禁じられた遊び」の名匠ルネ・クレマンが監督した。撮影(マルセル・グリニョン)、音楽(モーリス・ジャール)、美術、特殊効果ほかのスタァフも一流揃い。出演陣もアラン・ドロン、ジャン・ポール・ベルモンドー、アンソニー・パーキンス、イーヴ・モンタン、グレン・フォード、カーク・ダグラス、ロパート・スタック、レスリー・キャロン、オースン・ウェルズ、マリー・ヴェルシニ、ビエール・ヴァネックなど五〇名におよぶスター達が登場する豪華さである。〈原題「パリは燃えているか?』一九六六年度作品。二時間五〇分。パナビジョン70ミリ・黒白。パラマウント映画配給〉
〈コメント〉
映画は、第二次大戦時のパリ解放に至る過程を、レジスタンス側、ドイツ軍側双方の視点から史劇調に描いた大作で、アラン・ドロンやジャン・ポール・ベルモンドを始めとするフランスを代表するスターが競演する約3時間の大作です。
ただ、アラン・ドロンやジャン・ポール・ベルモンドは、さほど見せ場と言える場面がありません。むしろ、パリを脱出して、アメリカ軍にパリ進攻を訴えにいくピエール・ヴァネックがレジスタンス側の主役に近い感じです。一方、ドイツ軍側はパリ占領軍司令官・コルティッツ将軍を演じたゲルト・フレーベが抜群の存在感で、この映画の実質的な主役といっても過言ではないでしょう。戦闘シーンは、後半のクライマックスで、アメリカ軍のパリ進軍が描かれていますが、こちらも思ったより多くはありません。アクションよりも、レジスタンス内の確執やドイツ軍司令官の葛藤など、内面的な物語がこの映画の見所です。
最初にこの映画を観たのは、VHSがリリースされる遥か前のことです。当時、学生だった私は、人間魚雷「回天」を創案し、最初の殉職者となった故・黒木博司少佐の慰霊祭に参加するため、岐阜県を訪れたことがあるのですが、その日泊まった宿の新聞のテレビ欄に「パリは燃えているか」の文字を発見!それで、なんとか録画を頼める電気屋を探すために、夜の温泉街を走り回ったのが懐かしいです(笑)。そうまでして録画したテープですから、VHSがリリースされても消すには忍びえず、それが幸いして当時のテープがまだ残っております。
そのテレビ放映の吹き替えですが、以下の面々です。
アラン・ドロン(久富惟晴)
ジャン・ポール・ベルモンド(山田康雄)
ゲルト・フレーベ(田中明夫)
他にも、宮川洋一、木村幌、家弓家正、大木民夫、仁内建之、納谷六郎、富山敬、増岡弘…などなど、吹き替え陣も豪華キャストです。
水曜ロードショーで前・後編で放送された時はノーカット放送でしたが、私が録画したものは延長枠で正味2時間ほどでした。
〈雑誌記事より〉
「禁じられた遊び」の名匠ルネ・クレマンが、第二次大戦中パリ解放のため戦った市民たちの活躍と連合軍の戦いをドキュメンタリー・タッチで再現した大作で、アラン・ドロンを始め国際的な豪華スターを集めたキャストも話題になった。前・後編で登揚。
一九四四年八月、運合軍の大反撃作戦が始まっていた頃、パリにいるドゴール派の司令官デルマス(ドロン)がパリ防衛計画をめぐって過激派と対立していた。一方、イギリスからレジスタンス本部に連合軍はパリをさけて進軍するという情報が入る。市民たちはレジスタンスの組繊を中心にパリを守るために立ち上がった。ヒトラーは、これ以上市街戦が起これば爆撃機を出動させると通告したが、ドイツの占領・司令官コルティッツ(ゲルト・フレーべ)は敗戦を予想しパリを守るべくスウェーデン領事(オースン・ウェルズ)を介して話しあいをすすめていた。
武器も物資にもこと欠くレジスタンス軍は窮地に陥り、ノルマンディーの米軍司令部にいるパットン将軍(カーク・ダグラス)に援助をたのんだ。事態の急を知った司令部はバリ進攻を命じた。八月二五日、劇的なパリ解放が成る。ヒトラーは専用電話で「パリは燃えているか」と狂的に叫びつづけていた。J・P・ベルモンド、J・L・トランチニャン、アンソニー・パーキンズ、イーブ・モンタン、ジョージ・チャキリス、レスリー・キャロン、グレン・フォードらが出演する。
なお、2021年3月3日に発売されるBlu-rayにはノーカットの吹き替え音声が収録されます!
0コメント