ギャラント・メン[TVシリーズ] (1962)The Gallant Men

◆概要

 『ギャラント・メン』は、第二次世界大戦中のイタリア戦線を舞台に、米第5軍第36歩兵師団の活躍を描いた作品である。部隊を指揮するのはジム・ベネディクト大尉(ウィリアム・レーノルズ)であり、その行動を従軍記者コンレイ・ライト(ロバート・マックィーニー)の目を通して描いている。その他の出演は、イタリア人女性に目がないアンジェロ(エディ・フォンテーン)、親友のルカビッチ(ローランド・ラスターザ)とハンソン(ロバート・ゴース)、強靭なマッケナ軍曹(リチャード・X・スラッタリー)など。

 製作は大手映画会社のワーナー・ブラザースで、米本国では1967年よりABCにて放送が始まった。作品としては同時期に製作された「コンバット」とは異なり、「ギャラント・メン」は批評家の間では評価は高かったようだが、視聴率は苦戦を強いられ、僅か2クール全26話にて撤退することとなった。

 日本では、昭和38年(1963年)2月よりNET(現テレビ朝日)系で放送が始まり、「The Leathernecks」を除く25話が放送された。「The Leathernecks」は、コンレイ・ライトの兄弟クレイグが太平洋方面で行方不明になり、ライトが自ら調査に行くことを決心する話なので放送が敬遠されたものと思われます。1話足りない分については、第25話「車椅子の兵」の翌週に、第2話「孤独な狙撃兵」を再放送して帳尻を合わせております。 


◆登場人物

従軍記者コンレイ・ライト:ロバート・マックィーニー(声:原保美)

ジム・ベネディクト大尉 :ウィリアム・レーノルズ(声:松本朝夫)

フランク・キンブロー中尉:ロバート・リッジリー

ジョン・マッケナ軍曹  :リチャード・X・スラッタリー

ピート・アンジェロ上等兵:エディ・フォンテーン

アーニー・ルカビッチ兵卒:ローランド・ラ・スタルザ

ロジャー・ギブソン兵卒 :ロジャー・デイビス

サム・ハンソン兵卒   :ロバート・ゴース


◆各話あらすじ(放送リスト)

第1話 ローマへの道遠く

放送日:昭和38年2月1日

原題:THE GALLANT MEN (パイロット版)

監督:ロバート・アルトマン

脚本:ハルステッド・ウェルズ

あらすじ:

 1943年、米軍はイタリアのサレルノに上陸した。従軍記者コンレイ・ライトは、ジム・ベネディクト大尉が指揮する歩兵部隊に加わる。大尉はサンピエトロの防衛を任され、リーダーとしての資質が問われる。


第2話 孤独な狙撃兵

放送日:昭和38年2月8日

原題:RETREAT TO CONCORD

監督:リチャード・C・サラフィアン

脚本:ウィリアム・ブリュヒナー

あらすじ:

 ベネディクトの部隊に所属する狙撃兵のドレイバーは、解放されたイタリアの村の人々の生活を立て直すために、他の隊員たちと共にボランティア活動に参加することを拒否する。しかしその後、町の孤児たちのために渋々学校の先生を引き受けることになり、その中で自分の人間性を再発見していく。


第3話 運命の遭遇

放送日:昭和38年2月15日

原題:AND CAIN CRIED OUT

監督:チャールズ・R・ロンドー

脚本:ケン・ピータース

あらすじ:

 中隊長の弟であるグリフ・ベネディクト軍曹は、兄の中隊に配属されることになった。しかし、小隊の軍曹を必要としているにもかかわらず、ベネディクト少佐は弟を戦闘に参加させることを拒否する。兄弟の反目も弟の死によって本心が判る。


第4話 暗躍するパルチザン

放送日:昭和38年2月27日

原題:ONE MODERATELY PEACEFUL SUNDAY

監督:リチャード・C・サラフィアン

脚本:モンゴメリー・ピットマン

あらすじ:

 アメリカ軍が占領した町のホテルにドイツ兵5人が潜伏していた。ベネディクト大尉は、ギブソンら3名を掃討に向かわせるが、ドイツ兵の銃撃を受けてギブソン以外の2名は死亡、ギブソンはホテルロビーのチェックイン・デスクの下に潜り込んで何とか生き延びる。その頃、ベネディクト大尉は1時間以内に部隊を移動させるよう命令を受ける。大尉はパトロールを理由に反対するが、上官からは命令に従うよう厳命される。


第6話 戦場の恋

放送日:昭和38年3月8日

原題:LESSON FOR A LOVER

監督:チャールズ・R・ロンドー

脚本:リチャード・ランドー&ジェリー・デイビス

あらすじ:

 視力を失ったキンブロ中尉はナポリの病院に送られ、心因性失明症の治療を受けることになる。キンブロは、そこで働いているナポリ娘のマリアと恋に陥るが、マリアは病院から薬を盗み出すように男から脅迫されていた。


第7話 砲火の掟

放送日:昭和38年3月15日
原題:AND THE END OF EVIL THINGS
監督:リチャード・C・サラフィアン
脚本:デヴィッド・ラング
あらすじ:
 陸軍で軍服の仕立てを行っていたラプショック上等兵が最前線にやって来た。ラプショックは仲間からは慕われているが、戦闘任務には不適格で命令に従わないことが絶えなかった。やがてラプショックは、激戦中にミシンを気にして岩陰から這い出す。彼を助けるか否かで、ベネディクト大尉とキンブロ中尉の間に深刻な対立が生じる。


第8話 涙流れる日

放送日:昭和38年3月22日

原題:SOME TEARS FALL DRY

監督:チャールズ・R・ロンドー

脚本:ウィリアム・ケーニッヒ

あらすじ:

 キャサリン・パーマーは、美人だが攻撃的な戦場記者で、前線で目撃したことについて無神経な発言をするため、ベネディクトの部下たちから嫌われる存在になっていた。仕事熱心な従軍記者を中心に、従軍記者同士の微妙な心の触れ合いを戦場を背景に描き出す。


第9話 怒りの町

放送日:昭和38年3月29日

原題:FURY IN A QUIET VILLAGE

監督:リチャード・C・サラフィアン

脚本:スティーブン・ロード

あらすじ:

 ドイツ軍が撤退したカサレ村に到着したベネディクトの部隊だが、住民たちからは歓迎をされない。やがて、村に子供たちがいないことに気が付き、住民に何度も尋ねるがうまくいかなかった。実は町の子供たちは、ナチスによって地下室に人質として捕らえられていた。


第10話 いつの日にか

放送日:昭和38年4月5日

原題:SIGNALS FOR AN END RUN

監督: リチャード・C・サラフィアン

脚本:デビッド・ガイラー&ベルン・ガイラー

あらすじ:

 キンブロ、ギブソンと共に敵陣で働くマッケンナ軍曹は、勇敢なパルチザンの闘志リナと恋に落ちる。しかし、パルチザンのボスのルーボはそれを妬んで、マッケンナを始末しようとしていた。実はそのルーボこそ、ドイツ軍のスパイであった…。


第11話 孤児ロベルティーノ

放送日:昭和38年4月12日

原題:ROBERTINO

監督: チャールズ・R・ロンドー

脚本:ハーマン・グローブス

あらすじ:

 地雷原に迷い込んだイタリア人孤児ロベルティーノの命を救ったルカビッチは、彼を部隊に一緒に連れて行く。無邪気なロベルティーノは、いつしか兵士たちの心の慰めとなるが、ルカビッチの腕時計が行方不明になる。


第12話 尼僧院の夜

放送日:昭和38年4月19日

原題:A PLACE TO DIE

監督: チャールズ・R・ロンドー

脚本:ハーマン・グローブス

あらすじ:

 G.I.の落下傘兵ビリーは、ドイツ人やイタリア人に敵意を抱いており、敵を一人でも多く殺すことを望んでいる。ビリーはドイツ兵に打たれて重傷を負い、修道院に運ばれるが地元の医者の診療を拒絶する。死に直面しているビリーと、彼を救うことによって過去の罪を償おうとする若き尼僧カテリーナとの清らかな魂の触れ合いを描く。


第13話 死を賭けた跳躍

放送日:昭和38年4月26日

原題:TO HOLD UP A MIRROR

監督:チャールズ・R・ロンドー

脚本:チャールズ・スミス

あらすじ:

 ベネディクト大尉は、ドイツ人捕虜の元オリンピック選手ヴォルフェル少佐を、ボクサー出身のサルフォード二等兵に預ける。その後、ドイツ軍との銃撃戦でサルフォードは手に重傷を負ってしまい、戦後のボクシングの夢が絶たれたことを悟り深く動揺する。彼は夢を奪われた怒りを捕虜に向け、ヴォルフェル少佐を計画的に脱走させた上で射殺する。


第14話 媚びを売る女

放送日:昭和38年5月3日

原題:ADVANCE AND BE RECOGNIZED

監督:ロバート・トッテン

脚本:ジェームズ&ジョージ・オハンロン

あらすじ:
 イタリアのある町の解放中、アンジェロは親友のギル一等兵と再会する。二人は近くの酒場へ行き、2人の女性と出会う。ギルにとっては女とは一時の関係だが、アンジェロはニナという女性と激しい恋に落ちる。やがてアンジェロがGI保険を彼女に譲りたいと言いだし、ギルもベネディクト中隊長も心配になる。


第15話 失われた心

放送日:昭和38年5月10日

原題:BOAST NOT OF TOMORROW

監督:チャールズ・R・ロンドー

脚本:ケン・ピータース

あらすじ:

 ベネディクトの副官レイサムが戦闘中行方不明になり、戦死したものと推定された。ベネディクトは休暇中に、レイサムが結婚を申し込んでいた野戦看護婦ダイアンに会い、彼のことを告げるが彼女は驚くほど無反応であった。彼女は何度も婚約者に戦死をされて、女として生きることをあきらめていたのだった。やがてベネディクトは、自分がその女性に恋をしていることに気が付く。


第16話 犬

放送日:昭和38年5月17日

原題:THE DOGS OF WAR

監督:チャールズ・R・ロンドー

脚本:ジェイソン・ウィングリーン

あらすじ:

 シカゴ生まれの婦人はナチスのシンパでもあり、別荘での晩餐会でベネディクト大尉と将校たちの暗殺を計画していた。しかし、ベネディクトの人を疑わぬ素直な人間性に触れて、心を入れ替える。


第17話 血の橋

放送日:昭和38年5月24日

原題:THE BRIDGE

監督:リチャード・C・サラフィアン

脚本:ハーマン・グローブス

あらすじ:

 キンブロ中尉は、戦略的に重要な橋を破壊するために、部隊を率いて敵陣の背後に潜入した。しかし、キンブロの任務は、彼の部隊に所属する2人の男、破壊の専門家と橋を設計したイタリア人技師との衝突によって、問題を抱えることになった。


第18話 魂を売った男

放送日:昭和38年5月31日

原題:NEXT OF KIN

監督:ロバート・スパー

脚本:ケン・ピータース

あらすじ:

 アメリカ軍がサン・マルコを解放したとき、アンジェロは初めて叔父のニコラに会う。しかし、アンジェロの喜びも束の間、彼はなぜ叔父だけがドイツ占領下で豊かな暮らしが出来たのか疑問に思うようになる。実はニコラは、ナチス占領下でドイツ軍に協力していたのだった。


第19話 姿なき兵隊

放送日:昭和38年6月7日

原題:OPERATION SECRET

監督:ロバート・スパー

脚本:ロバート・マックイーン、ウィリアム・レイノルズ

あらすじ:

 従軍記者のコンレイ・ライトは、前線での取材から離れて、連合国司令部が絶対に行っていないと主張する工作について調査するために出発する。そして、とある邸宅で米兵の認識票を見つけたコンレイ記者は、その持ち主を調べて行くうちに秘密工作員の暗い孤独な宿命に触れる。


第20話 英雄

放送日:昭和38年6月14日

原題:THE WARRIOR

監督:リチャード・C・サラフィアン

脚本:ウィリアム・レイノルズ

あらすじ:

 ライト、アンジェロ、ギブソンの3人は、前線から離れて休息をとるためにナポリに向かっていたが、ドイツ軍の砲撃でジープが壊され、ドイツ軍が大規模な反撃を開始しようとしている地域に取り残される。敵中に孤立した兵隊たちがさらけ出す様々な人間像を通して、自分の心に正直な者こそ真の英雄であると彼らは悟る。


第21話 ワン・プカプカ部隊

放送日:昭和38年6月21日

原題:ONE PUKA PUKA

監督:レスリー・H・マーティンソン

脚本:デヴィッド・ラング

あらすじ:

 マッケナ軍曹の部隊は、敵陣の背後にあるドイツ軍の砲台の位置を特定する危険な任務に就く中で、第100歩兵大隊と遭遇する。第二次世界大戦中イタリア戦線で勇名を馳せた二世部隊と、ベネディクト中隊との人種を超えた友愛物語。ジョージ・タケイ、マコが二世部隊の兵士として出演。


第22話 相棒

放送日:昭和38年6月28日

原題:OL' BUDDY

監督:リチャード・L・ベア

あらすじ:

 いつも明るいサムとアーニーの 二等兵コンビが、つまらぬことから喧嘩をし、別々にパトロールに出かけたところ、夜間行動中にサムが部隊とはぐれてしまう。サムはドイツ軍部隊に占拠された農家の地下室に身を隠すことになり、そこで戦争に疲れたドイツ軍の軍曹と任務に熱心な中尉との間で、敵意が生まれるのをサムは静かに見守っていた。


第23話 泥の中の期待

放送日:昭和38年7月5日

原題:A TASTE OF PEACE

監督:リチャード・C・サラフィアン

脚本:ケン・ピータース

あらすじ:

 ドイツ軍との小競り合いで、ベネディクト大尉は重傷を負い、治療後に地方部隊への転属を打診される。その部隊は、南イタリアで傷ついた村の再建に携わっており、危険な戦場とは無縁であった。ベネディクトは、上陸以来の部下を置いて安全な後方勤務に就くか、危険な戦場へ戻るか、難しい選択を迫られる。


第24話 戦火のるつぼ

放送日:昭和38年7月12日

原題:THE CRUCIBLE

監督: チャールズ・R・ロンドー

あらすじ:

 あるドイツ兵が、ベネディクト隊に投降しようとした際に誤って負傷してしまう。捕虜は、野戦病院でベネディクト大尉から、ドイツ軍の位置について尋問を受ける。ベネディクトはこのドイツ兵が嘘をついているのか、それとも真実を語っているのか、自分で判断しなければならない。一方、ベネディクトと野戦病院のロス少佐は学友だが、昔から仲が悪かった。ドイツ軍の反撃を前にして二人の溝はますます深まっていく。


第25話 車椅子の兵

放送日:昭和38年7月19日

原題:TOMMY

監督:チャールズ・R・ロンドー

脚本:ジェームズ&ジョージ・オハンロン

あらすじ:

 休暇中のベネディクト大尉は、昔の恋人で歌手のアダムスと再会し、昔の愛情を蘇らせる。しかし、彼女は戦争で首から下が麻痺した英国人二等兵に突然想いを寄せるようになり、そこから奇妙な愛のトラブルに発展する。


◆雑誌記事

テレビジョンエイジより


◆コミカライズ

南波健二氏による『ギャラント・メン』のコミカライズ作品。少年キング昭和44年3号より連載開始。第1話「アンジェロ救出作戦」は、TVシリーズ第4話「暗躍するパルチザン」のコミカライズ。

戦争映画補完計画

私の好きなWWⅡドイツ軍関係の戦争映画、特にマカロニコンバットやユーゴ製の戦争映画を中心に紹介するページです。あとテレビ洋画劇場世代なので、吹替版の映画も大好きです。