激戦モンテカシノ(1958): Die Grünen Teufel Von Monte Cassino
製作 : 1958年
監督 : ハラルト・ラインル
脚本 : ミヒャエル・グラーフ・サルティコフ、ヨアヒム・J・バルチ
出演 : ヨアヒム・フックスベルガー、エヴァルト・バルザー、ディーター・エッペラー アニエ・ゲールク、エルマ・カルロワ、ヴォルフガンク・プライス
【物語】
1943年夏、南仏アヴィニヨンにて訓練中に負傷した独空軍第一降下猟兵師団のクリスチャンセン伍長(ディーター・エッペラー)は軍病院にて看護婦のインゲ(アニエ・ゲールク)と知り合いになる。また、クリスチャンセンの見舞いに病院を訪れたライター中尉(ヨアヒム・フックスベルガー)もインゲにデートを申し込むが、クリスチャンセンに好意を寄せるインゲはこれを断わる。
その後、連合軍がイタリア本土に進攻すると、降下猟兵師団もイタリアに移動し、ドイツ軍はモンテカシノ周辺で敵を迎撃する作戦をたてる。モンテカシノの修道院は避難民でごったがえしており、インゲもそこで治療にあたっていた。そのインゲから、修道院に貴重な美術品の数々があることを聞いたドイツ軍のシュレーゲル大佐は、この美術品をなんとかして戦火から守るため司令部には内密で輸送部隊を手配をする。
クリスチャンセンは美術品輸送トラックの護衛を命じられ、それにインゲも同行することになった。途中で一行はパルチザンに襲われるものの、今回の輸送が純粋に美術品を守るためのものであることを悟ったパルチザンは、その後妨害活動を中止し美術品は無事ローマに到着した。その後、モンテカシノの修道院は連合軍の爆撃により破壊され、ライター中尉も戦死した。戦後、クリスチャンセンとインゲは戦没勇士の墓を訪ねるのであった。
第二次大戦中のモンテカシノをめぐるドイツ軍と連合軍の戦闘を軸に、貴重な美術品を修道院から疎開させたという実話を描いた作品で、珍しいドイツ軍の空挺部隊ものの作品です。ドイツ軍の空挺部隊ものといえば真っ先に「鷲は舞いおりた」が思い出されますが、他はこの「激戦モンテカシノ」か「ドルバー大攻略戦」位しかありません。
本作品は、かつて「戦場ロマンシリーズ・ドイツ編」のDVD-BOX第5弾として発売予定だったのですが、どういう事情があったのか別の作品に差し変わってしまい、これまでに国内でソフト化はされておりません。また本国ドイツにおいても、昔はVHSが出ていたようですが勿論これは廃盤で、現在に至るもDVDは出ておりません。
しょうがないので、米国の某サイトよりDVD(もちろん正規ではない)を取り寄せ、英語字幕を機械翻訳して鑑賞しましたが、いつの日かキチンとしか形で鑑賞したいものです。
ライター中尉(ヨアヒム・フックスベルガー)
クリスチャンセン伍長(ディーター・エッペラー)
インゲ(アニエ・ゲールク)
シュレーゲル大佐(エヴァルト・バルザー)
ムンクラー軍医(ヴォルフガンク・プライス)
〈パンフレットより〉
★スタッフ★
監督……………ハラルド・ラインル
脚本……………ヨァーヒム・バルチ
音楽……………ロルフ・ウイルヘルム
撮影……………F・W・カリンケ
録音……………カール・ベッカー
編集……………I・タッシュナー
装置……………アルネ・フレクシュタット
撮影・監督……ハンス・ザイツ、デイキシー・ゼンスブルグ
製作……………フランツ・ザイツ
★キヤスト★
ライター中尉……………………ヨアーヒム・フックスベルガー
シュレーゲル中佐………………エワルト・バルザー
ジナ………………………………エルマ・カルロワ
看護婦インゲ……………………アンチェ・ゲールク
エレーヌ…………………………アグネス・ローラン
ハイデンライヒ将軍……………カール・ウエリイ
カール・クリスチヤンゼン……デイーター・エプラー
ムンクラー少佐…………………ウオルフガング・プライス
グライネルト曹長………………ウオルフガング・ヴアール
フリードリヒ……………………ハンス・ザイツ
エマニユエノレ神父……………アルミン・ダーレン
衛生兵ノイマン…………………ウオルフガング・ノイス
フアウスト………………………ヤン・ヘンドリクス
フーゴー・レンケ………………ハラルド・ユンケ
★解説★
一九四三年の夏、独軍第一降下師団はソ連での激しい戦争を終え、部隊は北イタリアのカシノの近郊に移動を開始した。此処は第二次大戦中での最激戦地となった場所である。
モンテカシノ僧院には莫大な価値をもつイタリア古美術品のコレクションがあり、両軍はこの僧院を攻撃目標から外すことに同意していた。しかし戦争はともすれば人知では予想できない進展をみせる事があり、その協約に不安をもった独軍将校が独断でこれらの美術品を安全なヴァチカンの地下室へ救出する決心をした。それは第ニ次大戦の砲火がこの神聖な僧院の壁を破壊する直前であった。悪夢の様な戦争は終った。独軍の将校によって救はれた貴重な美術品は今日もなおその姿を損う事なく立派に存在している。
この将校の周囲にはまた何人かの人々の運命をとりまいてるた最前線の野戦病院に働いている若いドイツ人看護婦と二人の男、だがこの愛の物語りも進展する前に戦争は彼等を圧倒し、世界をつつむ悲劇の中にたった一回きりの生涯がのみこまれてしまうモンテカシノ僧院が廃嘘となったのと同じよう………
この映画はーつの歴史の事実の起るのを目のあたりにみた少数の男達と二人の若い女性をリアリズムにえがいた記念すべき戦争映画である。
監督は「命ある限り」・「U47出撃せよ」等戦争ものを得意とするハラルド・ラインル
脚本は「娼婦ローズマリーの真相」のヨアーヒム・バルチ、撮影は「U47出撃せよ」より監督とコンビのF・W・カリンケ。
主演は「〇八一五」・「U47出撃せよ」と戦争ものに出演しているヨアーヒム・フックスベルガーを初め「エロイカ」・「黒い瞳」等オーストリア劇壇の大立物エワルト・・バルザー、ユーゴスラヴィア生れで現在ドイツの中堅女優エルマ・カルロワ、現在ドイツ映画界で最も力を入れて売り出しているブロンドの新人アニエ・ゲールク(一九五九年十一月ドイユ映画祭で来日)・「誰が祖国を売ったか」・「鮫と小魚」の性格スター・ウォルフガング・プライス、「U47出撃せよ」のハラルド・ユンケなどが出演している。
★物話★
一九四三年夏。南仏アヴィニョンの町に東部戦線で打ち続く激戦を終ったばかりの独軍第一降下師団が駐屯していた。長い戦斗から解放された兵士たち。久しぶりに屈託のない哄笑があたりに溢れ、若者たちはしばし時のたつのも忘れていた。その中には、部隊きっての猛者カール・クリスチャンゼン、ちゃっかり屋フーゴー・レンケの顔も見える。だが、こんなのんびりした時間は幾らも続かない。戦いの合間には、たえず激しい降下訓練が練り返えされるのだ。ユンカー52から次々にとび降りる兵士たち。だがその中で一人のパラシュートは、ついに最後まで開かなかった。重苦しい空気のうちにも、ライター中尉とグライネルト曹長の指揮する訓練は続けられた。降下中、はからずも負傷して野戦病院に送られたクリスチャンゼンと、彼を見舞ったライター中尉。二人はそこで、ムンクラー軍医、看護婦インゲと知り合う。インゲは美術学校の生徒だったが、今は従軍看護婦として戦場に献身の日々を送っているのだった。そんな彼女の清楚な姿に魅かれたライター中尉は、さっそくデートを申込むのだが、ていよくかわされてしまう。インゲは、いつかカールに思いを寄せているのだった。だが、二人の心が通ずる間もなく部隊は、傷の癒えたカールを連れてシシリー島へ移って行った。連合軍がイタリアに進攻を開始した。急拠、独軍最高司令部は、ローマから進撃する敵をリリー谷に阻止する作戦を立てた。ライター中尉、カール、グライネルト、部隊は再び戦雲の真只中に送り込まれた。ハイデンライヒ将軍は、カシノの地に強力拠点を設けるべく、彼ら落下傘部隊の斗魂にすべてを託していたのである。こゝは名高いモンテカシノ僧院、今しも戦渦をさけて集った避難民の群でごった返している。その中に混って二人の姉弟、美しいジナと弟ファウストの善良そうな顔もあった。彼らが秘かに連合軍と通じているとは誰ひとり知る由もない。その頃、インゲもこの僧院に派遺され、ドイツ人の神父エマニエルや他の僧たちと、避難民の救護に汗を流していた。だがこうしたインゲや神父の献身の姿を見るにつけても、ジナの心にはむらむらと憎悪の思いが拡がるばかりである。彼女は折さえあれば、人々をたきつけ、二人のドイツ人に対して反抗の気分をもり上げようとするのだった。この僧院には、ナポリの博物館から戦渦を避けて、世界的な美術品のかずかずが運び込まれていることを、インゲは神父に開かされて知っていた。
独軍のシュレーゲル中佐は、健康上の理由でしばらく内地に帰還するよう軍医から申し渡されたが、たまたま美術品のことを聞き及ぶと、この僧院も決して安全とは言えない。どこかへ移すべきだと考えた。
だが、僧院側は中佐の提案をいぶかり、信用しない、貴重な美術品を収めたこの僧院は攻撃目標から外すよう、あらかじめ両軍の間に協約が出来ていると云うのである。しかし中佐は、戦争がともすれば、人知を絶する途方もない進展を見せる事があり、そのような協約が所詮反古になることを身を以て知っていた。彼はひそかに美術品をローマに移そうと考えた。もとより軍規を犯しての搬送計画である以上、すべては覚悟の上である。その折も折、英国の放送が、「僧院の美術品は独軍の手で運び去られるに違いない」と警告を発した。
シュレーゲル中佐の計画はすでにハイデンライヒ将軍の耳にも入り、一時は中佐の独断にひどく立腹した将軍だったが、その真意を知って、快く搬送用トラックの手配に力を貸してやるのだった。一方、放送を聞いたジナと、ファウストは、人々を煽動し、美術品を運ぶ独軍トラック襲撃の計画をねっていた。
その夜、ライター中尉の部屋に押入ったジナは、色じかけに手管を弄して、仲間の行動から中尉や兵士の気を外らそうとする。美術品を積んだトラックが、ジナの仲間から奇襲を受けた夜、カールはアヴィニョンの病院で別れたインゲにばったり出食わした。再会を喜ぶ間もなく、敵の集中砲火があたりを包む間一髪、かけつけたライター中尉の援軍に、トラックは難を逃れることが出来た。モシテカシノ僧院が両軍の交える砲火の下で灰燼に帰したのは、それから間もなくのことだった。やがて戦争は、すべての人々の願いや期待を押し流し、ありとあらゆる運命を呑み込んだまゝ人間の歴史に途轍もないそして不幸な足跡を印して去った。
だが、言語を絶する悲惨の中にも、美を愛する人の勇気と良心が、一輪の花のように咲かなかった訳ではない。独取の一将校によって救われた貴重な美術品のかずかずは、今もなおイタリアの地に永遠の美をたゝえている。
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