地獄のノルマンディ(1968)TESTA DI SBARCOPER OTTO IMBLACABILI
HELL IN NORMANDY
製作 : 1968年
監督 : アル・ブラッドレイ
脚本 : エンツォ・ジッカ
出演 : ガイ・マディソン、ピーター・リー・ローレンス、エリカ・ブラン、フィリップ・ヘルセント 、トニー・ノートン
1944年、Dディ直前のオマハ海岸。ドイツ軍は、ここにガソリンを噴出させる装置を設置し、上陸しようとする連合軍を焼き殺す計画を立てていた。そこで、連合軍は反攻作戦が始まる直前にコマンド部隊を突入させ、装置のコントロール基地を破壊しようとする。
Dデイを成功させるためにドイツ軍の秘密基地を叩く!と話のスケールは大きいのですが、戦車はおろか出てくる車両はキューベルワーゲンやオートバイ程度、肝心の秘密基地もショボく、良くも悪くも典型的なマカロニコンバット映画で日本では劇場未公開の作品です。しかし、本作品は数あるマカロニコンバットの中でも最も人気の高い作品のうちの一つではないかと思われます。少人数の特攻隊による特殊作戦というマカロニコンバットの王道のストーリーに加え、「秘密基地」の「秘密兵器の破壊」という作戦目標にも惹かれるものがあります。
冒頭は「バルジ大作戦」をパクッ・・・いやオマージュしたシーンから映画が始まりますが、同じシチュエーションでも演出によって、ここまで違ってくるのか!と痛感すること請け合いです。お話はマーフィ大尉(ガイ・マディソン)率いるアメリカ軍のコマンド部隊が、ドイツ軍の秘密兵器である燃料噴出装置を破壊するというものです。その先遣隊?としてストローベル中尉(ピーター・リー・ローレンス)とオーブリー少佐(フィリップ・ヘルセント)がドイツ軍将校に成りすまして秘密基地に潜入します。しかし、そもそもこの作戦の内容が理解に苦しみます。コマンド部隊の攻撃によって秘密兵器を破壊するために、あらかじめ特務班2人が秘密基地に潜入するというんですが…じゃ、その特務班が爆破すればいいだけでは?と思ってしまいます。そもそも、この手のコマンド部隊ものは、幾多の艱難辛苦を経て、ようやく作戦目標に辿り着いてからがクライマックス!のはずなのに、僅か開始10分かそこらでアッサリ敵の秘密基地に潜入できてしまうのですから拍子抜けもいいところです。しかも、この潜入した特務班の役割が判りません。秘密兵器を見るのが目的だったのか、それともコマンド部隊が攻撃をかけた時の支援が目的なのか…そうこうしている内に正体がバレてしまい、一人は捕らえられ、もう一人は何とか脱出してレジスタンスの女性に助けられるという、これまたマカロニ・コンバットの典型的な展開(笑)。そしてコマンド部隊と合流し、再び秘密基地に戻り奇襲攻撃をかけるわけですが、何とも二度手間な作戦です(笑)。
私がこの作品のことを知ったのは、80年代に関東圏のテレビ番組雑誌の映画欄に載っていた紹介記事でした。もっともそれは、新聞の3行広告のようなもので、確か「第二次大戦下、ドイツ軍は上陸してくる連合軍をガソリンを使って焼き殺そうとする」といったものでした。早速、親戚に録画を依頼したのですが、送られて来たビデオテープには別の映画が録画されていたのでした(泣)。でも、「確かに言われた日時に録画した」とのことなので、テレビ東京に電話をしてみたところ、「フィルムの傷が酷いので修正に出している」「放送日は未定」とのつれない返事が…。残念ながらこの時は見ることは叶いませんでしたが、やがてバブル全盛期にHRSフナイよりビデオが発売され、さらに私の住んでいた地方でも深夜にひっそりとテレビ放送されたのでした。でも、このテレビ放送版、オリジナルのBGMは使われておらず、「荒鷲の要塞」やらその他のマカロニコンバット映画のBGMがバンバン挿入されておりました。展開のタルイ映画を何とか盛り上げようとした放送局の心意気?が感じられる一品です。その甲斐あってか、本作は木曜洋画劇場の歴代視聴率のベスト5にランクインされております。信じられない方は下記のページで確認できます。
ストローベル中尉役のピーター・リー・ローレンス。イケ面ですね。
オーブリー少佐役のフィリップ・ヘルセント。残念ながらあまり聞いたことないですね。
ヘンな柄の迷彩服を着るアメリカ軍コマンド部隊の隊長役ガイ・マディソン。いうまでもなくマカロニの常連。
女レジスタンス・デニーズ役のエリカ・ブランク。個人的には好みです(笑)
秘密兵器の開発責任者マーラー大尉。良識派?のドイツ軍将校。
どや!秘密兵器凄いやろ?と得意気の司令官
「ひみつきち」の内部です
海面からパイプがニョキっと突き出てきて、ガソリンを噴出!
点火して、上陸する連合軍に「熱いもてなし」をする算段です。
さて、この海面に燃料を噴出させて敵上陸部隊を阻止するという発想は、いかにもB級のマカロニ・コンバットらしい発想なのですが、どうやら実際にもあった(構想段階かもしれませんが)ようなのです。それは第2次大戦初頭、イギリス本土にドイツ軍が上陸するのを阻止するための方法として英軍において考えられていたらしく、ドイツ映画『誰が祖国を売ったか!』にも、その件が触れられております。ただ実際問題としてはどうでしょう?もし本当に敵の上陸部隊を阻止するとなると放出する燃料は莫大なものでしょうし、そんな「もったいないお化け」が出てきそうな贅沢な燃料の使い方など出来るのでしょうか?少なくとも1944年のドイツ軍には、こんな贅沢な「兵器」はあったとしても使えなかったでしょう(笑)。
【テレビ放映】
昭和48年11月22日
東京12チャンネル「木曜洋画劇場」
仲村秀生、小林勝彦、沢田敏子、大木民夫、仁内達之
【ビデオソフト】
【DVDソフト】
「地獄のノルマンディ」のDVDは一応国内でも発売されていますが、しかしこれが「アナログ・リマスター」なる訳の判らない、酷い画質のシロモノです。さらにこのDVD、フナイ版のVHSビデオにはあったシーンがカットされておりました。そのシーンは冒頭のドイツ軍のパトロール隊が、レジスタンスの馬車を検閲するシーンなのですが、テレビ放送でもカットされていました。まさか商品説明にあった「TV放送時の編集に近いアメリカ編集版! 」ってこのことなのか???ハッキリ言って、VHSビデオの方がまだ良いと思います。
その昔、取り寄せた「CULT ACTION」レーベルのDVD。正規のDVDか疑わしいのですが、私が知る限り、ワイドスクリーン版のDVDはこれだけです。
マカロニ・コンバット(Macaroni Combat)
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