アルデンヌの戦い(1967)DALLE ARDENNE ALL'INFERNO
THE DIRTY HEROES
製作 : 1967年
監督 : アルベルト・デ・マルティーノ
脚本 : アルベルト・デ・マルティーノ
出演 : フレデリック・スタッフォード、ダニエラ・ビアンキ、アドルフォ・チェリ、クルト・ユルゲンス、ジョン・アイアランド、ヘルムート・シュナイダー
第二次大戦末期のオランダ。ドイツ軍の捕虜収容所から脱走したアメリカ兵が、現地のレジスタンスと協力し、ドイツ軍司令部から機密書類やダイヤを盗み出そうとする。彼らは、ユダヤ人である出自を隠している、ドイツ軍司令官の妻を脅して協力させ、計画を実行する。
「低予算のチャチな映画に、配給会社が全然関係のない大げさな邦題をつけた!」ということで、すっかり有名になってしまった映画。内容よりも、邦題のことで「ネタ」にされているのが、この映画の不幸なところです。
劇場公開時は英語版のプリントだったのか、劇場公開時のポスターやプレス、雑誌記事を見ても原題は英語題名の「THE DIRTY HEROES」となっております。直訳すると「汚れた英雄たち」ですが、同年に公開の「特攻大作戦」(原題:THE DIRTY DOZEN)を意識して付けた英語題名であることは想像に難くありません。それに対して一般にはバルジの戦いのことを指す「アルデンヌの戦い」なんて邦題を付ければ、それは非難は免れないところです。
しかし、「THE DIRTY HEROES」は英語題名であり、本国イタリア語題名はというと「DALLE ARDENNE ALL'INFERNO」。直訳すると「アルデンヌから地獄へ」で、ちゃんとアルデンヌという言葉が入っており、邦題が100%的外れとも言い難いのです。
ではこの映画が、アルデンヌと少しでも関係があるのかというと、全く関係がありません。そもそも、話の舞台は1945年4月で、アルデンヌはおろかレマゲンの戦いよりも後の話なのです。では、どこからアルデンヌが出てきたかと言えば、おそらく製作者サイドが無理矢理「バルジ大作戦」(1965年)と連想させるような題名を付けただけだと推察します。イタリア版のDVDのジャケットデザインは、劇場公開時のポスターをベースにしたものですが、完全に「バルジ大作戦」に寄せてます。
とまあ、確かに原題&邦題には問題ありですが、アドルフォ・チェリ、クルト・ユルゲンスといったボンド映画の悪役2人に、「ロシアより愛をこめて」のボンドガールであるダニエラ・ビアンキも出演しており、出演陣は結構豪華。ラストの、戦車対空挺部隊の戦いも結構楽しめますし、云われているほどダメ映画ではありません。むしろ、私はマカロニ・コンバットではなく、正統派戦争映画に分類するべきかと考えが揺らぐことがあるくらいです。
フレデリック・スタッフォードは、「砂漠の戦場エルアラメン」や「空爆大作戦」にも出演。
ボンドガール歴代№1のダニエラ・ビアンキの出演も嬉しい限りです。
007「サンダーボール作戦」の悪役が有名なアドルフォ・チェリ。戦争映画では「アドルフ・ヒトラー/最後の10日間」のクレプス将軍役が印象に残ります。
戦争映画ではもはや説明不要のクルト・ユルゲンス。007「私を愛したスパイ」では悪役を演じてました。
悪いSSを演じるのはヘルムート・シュナイダー。「銃殺!ナチスの長い五日間」でもガチガチのドイツ軍人を演じておりました。
ダニエラ・ビアンキは、ユルゲンスの妻でユダヤ人の出自を隠しているという役どころ。
人妻ビアンキに恋をするスタッフォード。
シュナイダーに射殺されるユルゲンス
ラストにはちゃんとドイツ戦車軍団も登場します。「バルジ大作戦」と同じM47。
バズーカで応戦するスタッフォード。
白兵戦のスタッフォード。
唐突に火炎放射器を放つスタッフォード。
アドルフォ・チェリはお亡くなりに(ダイヤの分け前が増えました)
最後に二人は結ばれますが、ユルゲンスが殺されていなかったらどうした?(笑)
【テレビ放送】
吹き替えキャスト的にはフジテレビ版に軍配。しかしテレ東版はノーカット製作なので甲乙つけがたいですね。
フジテレビ版
テレビ東京版
【ビデオソフト】
【DVD】
左:イタリア版 116分 4:3 レターボックス
中:ドイツ版 104分 16:9 ワイドスクリーン
右:日本版 116分 16:9 ワイドスクリーン
イタリア版は全長版と思われますが、如何せん画質が悪いです。
ドイツ版は画質はまあまあですが、ラストの戦いがことごとくカットされております。
日本版は、ただ単にイタリア版をズームにして16:9に収録しただけだと思われ、当然酷い画質です。
【ロケ地情報】
マカロニ・コンバット(Macaroni Combat)
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