私的戦争映画ランキング
戦争映画関係の情報を得ようとネットサーフィンをしておりますと、国内外のサイトで戦争映画のランキングの記事を見かけることがありますが、どのランキングをみても「我が意を得たり!」と思うことがありません。
どのランキングを見ても「プライベート・ライアン」が入っておりますが、私自身は一度しか見たことはありませんし、DVDなども持っておりません。この作品が、これまでの戦争映画と比べると、戦場描写が桁違いにリアルで、演出面が革新的だったことには異論はありませんが、根本的に面白いと思えるところがなかったのです。
私は「戦争映画」は好きなんですが、最近のスプラッタ描写まがいの「戦場映画」はお呼びではないのです。という訳で、私なりに戦争映画ランキングを考えてみました。
第1位
大脱走(1963)THE GREAT ESCAPE
私が一番初めに見た戦争映画で、幼い頃から何度も繰り返し見てきた映画です。スティーブ・マックイーンを筆頭としたオールスターキャスト、緻密な脱走計画とドイツ軍との駆け引き、そして脱走してからの数々の見せ場や映画史に残るバイクスタントシーン。見事なまでに全編を通して娯楽に徹している不朽の名作です。
第2位
ナバロンの要塞(1961)THE GUNS OF NAVARONE
私が二番目に見た戦争映画で、その後の特殊部隊物のお手本になった傑作です。ラストの要塞爆破や随所に織り込まれている戦闘シーンも見所ですが、何と言っても個々のキャラクターがおりなす人間ドラマによって、この作品が単なるアクション映画以上の仕上がりになっているものと思います。少なくとも私はこれを超える戦争アクション映画の存在を知りません。
第3位
荒鷲の要塞(1968)WHERE EAGLES DARE
「ナバロンの要塞」が戦争アクションの最高峰であれば、この「荒鷲の要塞」は戦争スパイアクションの最高峰と言えるでしょう。イーストウッドのMP40の2丁撃ちに見られる銃撃戦、爆破に次ぐ爆破、そして転がり回るキューベルワーゲン!二転三転するストーリー展開といい、とにかくアクションに次ぐアクションで見せ場もたっぷりの痛快娯楽大作です。
第4位
バルジ大作戦(1965)BATTLE OF THE BULGE
出てくるタイガーがM47だということで、とかくコキおろされることが多い本作ですが、これほど「戦車」を魅力的に見せている映画が他にあるでしょうか?
「M47がタイガーに全然似ていない!」
「軍服などの時代考証が正確でない!」
そんなことは、この映画で描かれている「ドイツ機甲師団」の魅力の前には些細な問題でしかありません。戦車ものの映画で、本作を超える作品は永久にないでしょう。
第5位
レマゲン鉄橋(1969)THE BRIDGE AT REMAGEN
監督は「タワーリング・インフェルノ」でおなじみの、大作ならおまかせのジョン・ギラーミンで、本作でもその手腕をいかんなく発揮しております。冒頭から米軍の戦車部隊が一列縦隊で疾走する様を空撮するショットや、川沿いを疾走しながら対岸のドイツ軍陣地を砲撃するシーンなど、大いに見せてくれます。CGや合成なども一切ない、本物のスペクタクルシーンを織り交ぜて描かれる、レマゲン鉄橋をめぐる攻防戦は何度見ても飽きません。
第6位
眼下の敵(1957)THE ENEMY BELOW
潜水艦ものの戦争映画では、大抵、「U・ボート」がランキングされるのですが、私のイチ押しはこの「眼下の敵」です。本作はアメリカの駆逐艦とドイツのUボートの息詰まる対決を描いたもので、アメリカ映画ながらも一方的に偏ることもない公平な視点で描かれており、両艦長の頭脳戦、駆け引きの妙を堪能することが出来ます。ラストに双方の艦長が言葉を交わすシーンが…嗚呼、格好いいんです!
第7位
クロスボー作戦(1965)OPERATION CROSSBOW
監督は爆撃隊ものの名作「暁の出撃」のマイケル・アンダーソンで、実際に連合軍によって実施されたペーネミュンデの爆撃の裏に、スパイによる潜入と破壊工作いうエピソードを織り交ぜたスパイアクション作品です。系統としては、「ナバロンの要塞」のような拠点爆破モノの映画にあたりますが、飛行爆弾のV1号の開発過程が丁寧に描かれていたり、さらにはV2ロケットが登場したりする珍しい映画です。ラストのペーネミュンデの爆破シーンもなかなかの迫力です。
第8位
明治天皇と日露大戦争
最初にこの映画を見た時の衝撃は今でも忘れられません。日本にもこんな素晴らしい戦争映画の傑作があったのかと! 日露戦争という未曾有の国難に際して、日本がどう立ち向かっていったのかを余すところなく描いており、ストーリーが講談調のようにテンポ良く展開されていきます。同じ様な内容で、後に「日本海大海戦」も製作されておりますが、娯楽性は本作の方が圧倒的に高いです。皇国史観だ?アナクロニズムだ?だからそれがどうした!
第9位
戦争のはらわた(1977)CROSS OF IRON
昔は戦争映画のランキングには、必ずといってよいほど本作が名を連ねていたものですが、今ではすっかりと「プライベート・ライアン」が取って代わっています。でもこの「戦争のはらわた」と「プライベート・ライアン」は、リアル系戦争映画ということで同列視する向きもあるようですが、「戦争のはらわた」のバイオレンス描写と「プライベート・ライアン」のスプラッタ描写は私は似て非なるものだと感じております。
第10位
鷲は舞いおりた(1976)THE EAGLE HAS LANDED
監督は「大脱走」や「荒野の七人」の名匠ジョン・スタージェスで、戦争映画では常に悪役として描かれるドイツ軍が、誇り高く描かれているという珍しい映画です。マイケル・ケイン扮するシュタイナーと、その部下達との男気溢れる熱き絆にはグッときます。軍服や兵器といった時代考証も正確で、ドイツ軍好きには堪らない作品。派手な戦闘シーンがある訳ではありませんが、上質の戦争秘話アクションに仕上がっていると思います。
さて、とりあえず10位までをランキングしてみたのですが…いや難しいですね。
「史上最大の作戦」、「遠すぎた橋」、「空軍大戦略」、「633爆撃隊」、「トブルク戦線」、「ワイルド・ギース」、「特攻大作戦」など、ランキングしたい作品は山ほどあり、どれも甲乙つけ難い傑作です。
私はあくまで映画というのは「娯楽」が基本であると考えておりますので、戦争映画についても娯楽性を求める傾向にあります。しかし、今の世の中でもてはやされている戦争映画は「娯楽性よりもリアル性」のようで、そのへんが私の考えるランキングと世の中のランキングのギャップなのかなと思われます。
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