将軍たちの夜(1966)

The Night of the Generals

製作 : 1966年

監督 : アナトール・リトヴァク

脚本 : ジョセフ・ケッセル

出演 : ピーター・オトゥール、オマー・シャリフ、トム・コートネイ、ジョアンナ・ペティット、フィリップ・ノワレ、ドナルド・プレザンス、チャールズ・グレイ


【DVD解説より】

1942年、ナチスドイツ占領下のワルシャワ。一人の女性が惨殺された。目撃者の証言にによると犯人はズボンに赤い縦縞が入っているドイツ軍の制服、つまり 将軍の制服姿だったというのだ。情報部のグラウ少佐は調査を進めるが、その矢先に左遷されてしまう。

最初にこの映画をレンタルビデオ店で見かけた時には、ビデオのパッケージと題名からキワモノ映画であると思い込んでしまい、中々見ませんでした。しかし見るものが無くなって、しょうがなく見てみたら(笑)、すごく上質の映画だったのでびっくりしました。

この映画を見て最初に思ったことは、「よくこんな映画をアメリカで作ったな」ということでした。物語は、異常殺人を犯したドイツの将軍を、同じドイツ軍の情報部の少佐と、その遺志?を継いだフランスの警部が追及するというものですが、この話しをドイツやフランスで映画化するというのならまだ分かるのですが 、こういう話をアメリカで映画化するというのが非常に奇異に感じました。だって英米人が一人も出てこないんですよ?

原作は「08/15」でおなじみのハン ス・ヘルムート・キルストによるサスペンス長編小説で、製作は「アラビアのロレンス」のサム・スピーゲル。出演もピーター・オトゥールにオマー・シャリフの「アラビアのロレンス」のコンビ。そして音楽も同じくモーリス・ジャールということで、かなり「アラビアのロレンス」を意識している布陣です。

本作は一応、戦争映画に分類されておりますが、劇中、ワルシャワを破壊するシーンを除けば戦闘シーンなどはありません(この破壊のシーンは迫力があります)。

物語の内容からいっても、戦争映画というよりはサスペンス映画の部類に入るかもしれません。

ではサスペンス映画としては本作はどうなのか?というと、残念ながら優れたサスペンス映画とは言い難いと思います。ハッキリ言ってサスペンス性はゼロに近いです。

ワルシャワでの殺人において、犯人がズボンに赤い縦縞が入っていたドイツ軍の制服を着ていたということから、タンツ、ガーブラー、カーレンベルグの3将軍が容疑者となる訳ですが…もう、見た目で最初から犯人が誰だか判ってしまいます(笑)

まあ、それは止むを得ないにしても、「アレッ?ひょっとしたらこっちが犯人?」的な演出がほとんどないので、サスペンスの欠片もありません。

それに元々の「犯人のズボンに赤い縦縞が入っていた」という点にしても、一見、凝っているエピソードのように思いますが、冷静に考えるとズボンに赤い縦縞があったということは、上着も金モールバッチリの制服を着ていたということで、そんな目立つ格好をして娼婦を殺しに行くか?と突っ込みたくなります(笑)

個人的には、もう少し謎解き的要素を入れるとともに、なぜタンツ将軍が異常殺人を犯すに至ったのかという点を描けば良かったのに…などと考えてしまいます。

さて本作は、昭和48年に日曜洋画劇場で延長枠で放送され、下記に示しますように豪華な声優陣がアテておりますが、残念ながら現在は90分枠(正味70分)の音源しか残っていないそうです。誰かオープンリールやカセットテープで録音されている方はいないものでしょうか…?


タンツ中将:ピーター・オトゥール(井上孝雄)


グラウ少佐:オマー・シャリフ(戸浦六宏)


ガーブラー大将:チャールズ・グレイ(久松保夫)


カーレンベルク少将:ドナルド・プレザンス(大木民夫)


ハルトマン伍長:トム・コートネイ(納谷六朗)


ウルリケ:ジョアンナ・ペティット(池田昌子)


モラン警部:フィリップ・ノワレ(穂積隆信)

戦争映画補完計画

私の好きなWWⅡドイツ軍関係の戦争映画、特にマカロニコンバットやユーゴ製の戦争映画を中心に紹介するページです。あとテレビ洋画劇場世代なので、吹替版の映画も大好きです。