橋(1959)Die Brücke

製作: 1959年

監督: ベルンハルト・ヴィッキ

出演: フォルカー・ボーネット、カール・ミハエル・バールツァー、フリッツ・ヴェッパー、ミヒャエル・ヒンツ


【DVD解説より】

 恐竜よりもおそろしい戦車に、家族を守るためとはいえ、迷わず立ち向かえるか?

 第二次大戦末期、無条件降伏まぎわのドイツにはもう戦力の余裕はなく、日本でいうと高校生低学年の者まで兵士として駆りださねばならぬほどだった。ある村でも、少年7名が防衛のために召集される。大人の正規の軍人たちは、どうせあまり役に立つまいし、若い彼らを死なせるのはかわいそうだと思って、戦略上重要度の低い村はずれの橋に配置する、そうとは知らない少年たちは、自分の生まれた村と家族を守りぬく決意で持ち場につく。ところが思いがけぬことに、まさにその橋から、敵は村に攻めよせてきた!

 大戦で壊滅したドイツ映画を復興させようと努力した監督のひとりとして、俳優出身者ベルンハルト・ヴィッキを忘れることはできない。その代表作『橋』のひたむきさは、今もなお、「ああ、映画を見た」と実感できる。


 「反戦映画」という括りは、あたかもそれ以外の戦争映画は「好戦映画」であるかのように聞こえてしまうので個人的にはあまり好きではありませんが、「反戦映画の一番の傑作は何だと思う?」と問われれば、私は迷わずこの「橋」を一番に挙げます。知名度から言えば、「西部戦線異状なし」と比べると低いですが、ベルンハルト・ヴィッキ監督の演出が冴え渡る傑作映画です。

 ベルンハルト・ヴィッキといえば、もともと俳優の出身で、戦争映画では「最後の橋」でパルチザン役で出ていたり、「ヒトラー暗殺」ではシュタウフェンベルグ大佐を演じています。その後、この「橋」を監督した訳ですが、これが監督第二回作品とは思えないほどの完成度を誇っております。

 例えば一番印象に残っているシーンは、敗走するドイツ軍が橋を通過した後、朝霧の中で橋の真ん中にたたずむ少年兵を斜め上から捉えたカット。これから、何が起こるのか?という少年たちの不安感を見事に表しております。

 また、米軍の戦車が登場するシーンでも、キュラキュラキュラとキャタピラ音が徐々に大きくなってくるものの、なかなか戦車がその姿を見せないため、戦闘の前から否が応でも緊張感が高まっていく演出は見事の一言です。

 おそらく、この「橋」での評価が後の「史上最大の作戦」のドイツ側の監督として抜擢に繋がったのではないかと思われます。

 あえて、この「橋」にケチをつけるのであれば、召集された少年兵たちがM36やM40とおぼしき軍服を着用していたからか、第二次大戦の終戦間際の話には思えなかったことです。あとは改造のヘンテコなシャーマン戦車や改造MP44とか、突っ込みどころはありますが、作品全体の出来からいえば些細なことです(笑)。

戦争映画補完計画

私の好きなWWⅡドイツ軍関係の戦争映画、特にマカロニコンバットやユーゴ製の戦争映画を中心に紹介するページです。あとテレビ洋画劇場世代なので、吹替版の映画も大好きです。