戦争と友情(1978)FROM HELL TO VICTORY

〈チラシより〉


▶︎スタッフ◀

監督……………………………ハンク・マイルストーン

脚本………………………………………トニ・フリッツ

音楽…………………………………リズ・オルトラーニ

▶︎キャスト◀

ブレット・ローズン………………ジョージ・ペパード

ファビアンヌ・ボーダン…………アニー・デュプレー

モーリス・リビ…………………ジョージ・ハミルトン

ユルゲン・デュトルフ………ホルスト・ブッフホルツ


■解説と内容

 毎年8月24日、ここで会おう──。

 戦火の彼方に空しく消え去った友情の証し。パリで出逢い、セーヌ河畔で固い絆で結ばれた、国籍も年齢も違う6人の男女。彼らの数奇とも皮肉ともいえる運命が、戦争という悪夢の中で輪舞のように展開していく。

 友情よりも祖国の論理で行動しなければならなかった彼らは、身の不運を嘆くこともなく、戦火に身を投げ出して露と消えていった。友情はたった一枚の記念写真と”8月24日”という空しい約束の中に封じ込められたまま……。戦争の悲惨さを訴える声は低く静かだ。しかし、それだけにスクリーンの端々から伝わってくる声は、観る者の胸を打つ。

 1939年、夏──第二次世界大戦前夜。パリのセーヌ河畔で6人の男女が、ささやかな宴をはっていた。国籍も年齢も違う彼らは、ともにパリで知り会い、友人になった仲間たち。アメリカ人であ ドイツ人であり、イギリス人であり、フランス人である彼らは、戦争勃発を前に、それぞれの故国へと散っていった。”毎年8月24日、ここで会おう”という再会の約束と一枚の記念写真を手にして。

 一年目。約束の場所を訪れたのは、パリ進駐のドイツ軍将校だけだった。彼は店の壁に日付とイニシャルを刻んで立ち去った。二年目、三年目……。戦争は激化の一途をたどる。約束の店は誰からも見捨てられたようにさびれ、訪れる者もいなかった。

 彼ら6人は戦場で、偶然とも皮肉ともいえる再会と別れを繰り返すことになる。ある者は敵対する者として、ある者はともに行動する者として。あるいは、再会を望みながら知らずに行き違うことさえあった。

 戦況は刻々と変化していった。あれから5年。フランスではドイツ軍と連合国軍が最後の激突を繰り返していた。そして、8月24日。パリは解放された。街中が歓呼に湧き返っていた。8月24日──5年目の約束の日だった。セーヌ河畔のあの店に、2人だけが集まってきた。朽ち果てた店にたたずみ、川面を見やる2人。彼らのほかには誰もいない。

 セーヌの流れは5年前と何も変わっていない。しかし、この5年の間に、戦争という災禍によって人々は肉体的にも精神的にも傷ついていた。そして、人々を取り巻く状況も変化を余儀なくされていた。6人の友情は政治という歯車の中で引き裂かれ、ある者は死に、そして、ある者は失意のどん底へと沈んでいった。

 2人はグラスを重ねる。不在の友人たちに乾杯……。

 6人の友人たちを演じるのは「ティファニーで朝食を」のジョージ・ペパード、「ドラキュラ都へ行く」のジョージ・ハミルトン、「ボビー・デアフィールド」のアニー・デュプレー、「荒野の七人」のホルスト・ブッフホルツ、「さすらいの航海」のサム・ワナメーカー、「三銃士」のジャン=ピエール・カッセルという国際色豊かな顔ぶれ。ジョージ・ハミルトンがフランス人を演じ、ジャン = ピエール・カッセルがイギリス人を演じるなど、配役の妙もある。

 監督はハンク・マイルストーン。あまりなじみのない名だが、イタリア名はウンベルト・レンツィで、「ガラスの旅」「殺意の海」「サンドカン総攻撃」などの日本公開作品がある。

 音楽は流麗なサウンドづくりで知られるリズ オルトラーニ、撮影はホセ・ルイス・アルセイメが担当している。

(上映時間1時間43分)

戦争映画補完計画

私の好きなWWⅡドイツ軍関係の戦争映画、特にマカロニコンバットやユーゴ製の戦争映画を中心に紹介するページです。あとテレビ洋画劇場世代なので、吹替版の映画も大好きです。